押尾被告に懲役2年6月、「致死罪」は認めず
地裁、保護責任者遺棄罪と認定 被告側が控訴
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合成麻薬MDMAを一緒に飲んだ女性(当時30)の容体が急変したのに、適切な措置をとらず死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪などに問われた元俳優、押尾学被告(32)の裁判員裁判の判決公判が17日、東京地裁であった。山口裕之裁判長は致死罪の成立を認めず、より法定刑の軽い保護責任者遺棄罪と認定、懲役2年6月(求刑懲役6年)の実刑を言い渡した。
公判で被告側は保護責任者遺棄致死罪などについて無罪を主張、判決後に即日控訴した。
判決理由で山口裁判長は「現場には被告しかおらず、被害者を保護する責任があったのに119番通報しなかった」と指摘。「自分に保護責任はないと主張するなど反省は皆無。芸能人の地位や家庭を失いたくないという自己保身に酌量の余地はない」と述べ、実刑が相当とした。
一方で「確実に救命できたかは医師の間でも見解が分かれており、合理的疑いを入れない程度に立証されているとはいえない」として、致死罪が成立するとした検察側主張を退け、放置と死亡の因果関係を否定した。
公判で押尾被告は「見殺しにしていない。私はそんな人間ではない」と主張。女性にMDMAを譲渡した麻薬取締法違反(譲渡)罪についても無罪を訴えたが、判決は「女性は被告が渡したMDMAを飲んだ」と被告の譲渡を認定した。