クロアシアホウドリ、八丈島近くで抱卵 絶滅危惧種
国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定するクロアシアホウドリが東京・八丈島近くの無人島、八丈小島で産卵したと樋口広芳東大名誉教授らの研究グループが17日までに発表した。昨年末、卵を温めているとみられる個体を見つけ、今月6日に2組のつがいの抱卵を確認した。世界最北端の繁殖地になるという。
クロアシアホウドリは全身が黒褐色で、国の特別天然記念物アホウドリの近縁種。八丈小島付近ではアホウドリやコアホウドリも確認されている。樋口名誉教授は「近い将来、世界的にも注目されるアホウドリの島になる」と話している。
研究グループは昨春、クロアシアホウドリが八丈小島に営巣したのを確認、20~30羽が生息すると推定している。2月下旬にはひながかえり、6月下旬までに巣立つとみられる。繁殖場所にはロープを張り、釣り人やダイバーなどの立ち入りを規制している。
八丈小島では1969年に全島民が離れた後、家畜だったヤギが野生化し、営巣に適した草地が減った。2002年からヤギを駆除したことなどで環境が回復した。これまでは約300キロ南にある鳥島が最北端の繁殖地だった。