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「原発からどこまで離れれば…」 福島の避難住民

福島第1原子力発電所で白煙や火災が発生した16日、周辺の避難住民に一層の不安が広がった。深刻さを増す原発事故に「少しでも遠くに離れたい」との思いが募るが、「ガソリンがなくてこれ以上動けない」との声も上がる。避難区域の拡大などで、すでに何度も避難所の移動を迫られた被災者も少なくない。先の見えない避難所生活が続き、疲労の色は濃くなるばかりだ。

「これで避難所は4カ所目。移動したいが、もうガソリンがない……」。福島第1原発3号機から白煙が上がっているニュース映像を見ながら、福島県大熊町の無職男性(62)がつぶやいた。

男性の避難先は原発から約38キロ離れた福島県田村市の総合体育館。現在、原発から20キロ圏内には避難指示が出され、30キロ圏内は屋内退避が求められている。だが、さらに爆発などのトラブルが起きたことでこうした区域が広がりかねない、という避難住民の心配は強い。その場合、同避難所で暮らす2千人近くの行方は不透明になる。

男性は地震当日は大熊町内の体育館に避難。その後、文化センターなどを転々とし、14日に現在の総合体育館に移ってきた。「ここは市の手厚い支援で食べ物があり夜も暖かい。気がかりなのはこれからのことだけ」と、事態の推移に神経をとがらせる。

同じく大熊町から田村市内の避難所に移った主婦(48)は、埼玉県内の親戚宅に身を寄せようと一度は避難所を出たが、途中の国道4号で激しい渋滞に巻き込まれ、ガソリンが無くなりかけて断念した。

「少しでも遠くに離れたかったが、ガソリンが空っぽになって暖房の入らない車内で動けなくなるほうが怖い」。泣く泣く引き返し、避難所に再入所した。

自治体のバスで避難した大熊町の女性(76)は、自家用車を同町役場に止めているが、原発の20キロ圏内で近付けない。長引く避難生活で両足の持病が悪化し、今は立つのがやっと。「万が一のことがあったら、どうやって移動したらいいのか……」と悲痛な表情を浮かべる。

「放射線による孫への影響が心配」と漏らすのは、生後11カ月の孫ら家族4人で福島県富岡町から避難した笹山英也さん(51)。15日に放射線量の検査を受け、全員基準値以下だったというが、「いざというときに備え、東京や千葉へ避難することも考えないと」と思い詰めている様子だった。

より原発に近い地域では避難所の移転も始まった。「屋内退避エリア」にある同県川内村。村内の数カ所の避難所には近隣の被災者ら約5千人が滞在しているが、県はさらに西の同県郡山市にある大型複合施設を新たな避難所に決め、16日から被災者の移送を始めた。

川内村の避難所では屋内退避の指示が出た15日以降、被災者から「もっと安全な所に避難させて」という要望が殺到。県が急きょ代替施設を決めたが、16日時点の受け入れ人数は約3千人。今後、全員を移送できるかは不透明だ。県の担当者は「避難区域などが拡大するにつれ、避難場所の確保の厳しさも増している」と険しい表情で話した。

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