医療事故防止で連携強化 関係6団体が法人設立
医療事故の防止を目指す一般社団法人「医療安全全国共同行動」(東京・港)は16日、東京都内で設立記念シンポジウムを開催した。同行動は薬の誤投与などの防止策を共有して入院患者の死亡を減らすキャンペーンとして2008年にスタート。今年3月時点で約690病院が参加しており、法人として体制を強化して診療所も含めた医療安全の向上を目指す。
設立は5月1日付。医療の質・安全学会のほか、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会、日本薬剤師会、日本臨床工学技士会の計6団体が参加した。
「医療安全は新たなステージへ」と題したシンポジウムでは11年に患者安全法を制定したスウェーデンの自治体協議会患者安全担当部長のエヴァ・エストゥリングさんが講演。同法は医療機関など組織が責任を負うことを明確にしたと説明し、「事故を起こした医療者をすぐに罰するのではなく、3年間の猶予を与えて、再び事故を起こさないように支援している」と話した。
同行動の上原鳴夫専務理事は「キャンペーンに参加した病院の死亡率が下がるなど、組織で取り組むことで医療安全は向上してきた」と約5年間の成果を強調。医療事故調査の議論も進むなか、「患者の安全を高めるためには事故を未然に防止することも重要」として病院のほか医科、歯科の診療所などに取り組みを広げる必要性を訴えた。
関連キーワード