ハコモノ広報館に寒風、仕分け契機 来場まばら、閉館も

2010/12/18付
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省庁や公益法人の仕事を展示物などでPRする広報施設に冷たい逆風が吹き付けている。行政刷新会議の事業仕分けでは「廃止」「予算削減」など厳しい判定が続出。年内で閉館に追い込まれる施設がある一方、予算削減に伴い有料化したものの来場者の大幅減に苦しむケースも。ネット時代に"ハコモノ広報"そのものの必要性を疑問視する声も少なくない。

昨年11月の第1回事業仕分け会場にもなった国立印刷局市ケ谷センター(東京・新宿)内にある「お札と切手の博物館」は19日に閉館し、約40年の歴史に幕を下ろす。

紙幣や切手の印刷工程を説明する展示パネルや、1億円分の一万円札の重さを体験できるコーナーなどがあり、入場無料。最後の機会にと小学4年の息子(10)と初めて訪れた近所の主婦(43)は「思ったより楽しかった」と話しつつ、「駅から遠いし、誰が来るんだろうとずっと思っていた」と苦笑する。

もともと2007年の整理合理化計画で閉鎖が決まっていたが、センターを所有する国立印刷局は、事業仕分けで不要資産の売却や業務効率化を求める意見が相次いだ。印刷局の村上善昭広報室長は「博物館は国民に偽造防止技術を知って紙幣を安心して使ってもらうのに必要」と強調。展示の一部は王子展示室(東京・北)に移す。

事業仕分けで「廃止」判定された宇宙航空研究開発機構(JAXA)の広報施設「JAXAi」(東京・丸の内)も28日で閉鎖。東京駅に近いアクセスの良さが売りだったが、年約1億円の経費などがネックとなった。

舘和夫広報部長は「宇宙の魅力や最新の研究成果を分かりやすく発信できるよう心がけてきた。来場者の評価も上々だっただけに閉鎖は残念」と無念さをにじませる。

陸上自衛隊の広報センター「りっくんランド」(東京・練馬)は仕分けの「予算削減」判定を機に逆に注目を集めた。しかし、11月の有料化後は来場者数が激減。同月は約7千人と前月の約1万5千人から半減した。

政府関連の広報施設について、事業仕分けでは「コストに比べて効果が薄い」「インターネットによる広報で十分」など厳しい意見が相次いだ。

「仕分け人」を務めた中央大法科大学院の安念潤司教授は「多くの施設は税金で運営されており、来場者を本気で増やそうというインセンティブが働きにくい」と指摘。「効率の悪いハコモノ広報は見直す時期に来ている」としている。

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