やなせたかしさんが死去 「アンパンマン」作者、94歳
漫画界の最長老で、国民的な人気アニメ「アンパンマン」などの作品で知られる漫画家のやなせたかし(本名・柳瀬嵩=やなせ・たかし)さんが13日午前3時8分、心不全のため東京都内の病院で死去した。94歳だった。連絡先は原作の出版元のフレーベル館。偲ぶ会を開くが日取りなどは未定。

三越宣伝部で包装紙のデザインなどを担当した後、漫画家として独立。戦争体験をもとに「何よりまず飢えた人を救うのが本当の正義の味方」という考えが、自分の顔をちぎって与えるアンパンマン誕生につながった。
1988年放映開始のテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」で人気に火が付き、国内だけでなく海外でもヒットした。日本での放送は1191回を数えた。音楽の分野でも才能を発揮し、故いずみたくさんが作曲した「手のひらを太陽に」の作詞を手掛けた。
10~20代を過ごした高知県の地域振興にも熱心で、同県香美市には96年、私財を投じて「アンパンマンミュージアム」をオープンした。ひょうひょうとした人柄で90歳を超えてもキャラクターを描き続け、日本漫画家協会理事長も務めた。
フレーベル館によるとやなせさんはぼうこうがんなどを患い、8月下旬から入院。同社が11月に出版を予定している「やなせたかし大全」や、来年夏に公開予定の映画について、病床から製作指揮をしたりアイデアを出したりしていたという。