地下鉄、松本両サリン事件で使われたサリン製造の中心メンバーとして殺人罪などに問われ、一、二審で死刑判決を受けた元オウム真理教幹部、土谷正実被告(46)の上告審判決で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は15日、「教団の一連の犯行で極めて重要な役割を果たした」として、被告側の上告を棄却した。死刑が確定する。
一連の事件で死刑が確定するのは、元教団代表の松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、55)らに続き11人目。ほかに遠藤誠一被告(50)と中川智正被告(48)の2人が、二審で死刑判決を受けて上告している。
同小法廷は判決理由で「被告はサリンなどの開発作業の中心で、被告の豊富な化学知識や経験を駆使することなしに、多数の死傷者を出した地下鉄サリン事件などの各犯行はなし得なかった」と指摘した。
そのうえで、公判でも松本死刑囚に帰依する姿勢を貫き、責任回避の供述をしているなどとして「真摯な反省は認められず、刑事責任は極めて重大。死刑を是認せざるを得ない」と結論付けた。
昨年12月に開かれた弁論で、弁護側は「松本死刑囚の指示にあらがえず、盲目的に従うしかなかった。現在は教団の影響から脱して反省している」として、無期懲役が相当だと主張。検察側は「未曽有の無差別テロで、当然に死刑を選択すべきだ」として上告棄却を求めていた。
判決によると、土谷被告は1994年から95年にかけて、松本死刑囚らと共謀し、地下鉄、松本両サリン事件で使われたサリンなどの毒物を生成。計20人の殺害に関与するなどした。