2019年7月19日(金)

拉致帰国10年、家族ら日朝協議に期待 「具体的結果を」

2012/10/15付
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北朝鮮による拉致被害者5人が2002年10月に帰国してから、15日で丸10年。残る人たちの帰還を求め続ける家族らは14日、訴えをより強める方針を確認し、4年ぶりの日朝協議に進展への期待を込めた。故郷に戻った蓮池薫さん(55)は過酷な24年間をつづった手記を出版し、国民が関心を絶やさないでほしいと呼びかける。

拉致被害者家族でつくる「家族会」と支援団体の「救う会」は丸10年の今年を「勝負の年」と位置付けていた。14日に東京都内で開いた合同会議では、進行中の政府間の日朝協議を念頭に「政府が情報収集活動をより強化し、具体的結果を残すことを求める」との活動方針を決めた。

両会が累計1千万人を目標に掲げる署名は940万筆弱に到達。会議後の記者会見で、田口八重子さん(失踪当時22)の兄で家族会代表、飯塚繁雄さん(74)は「この数字の重さを全国民や国、北朝鮮にメッセージとして出したい」と強調。日朝協議を「何とかきっかけとして進めてほしい」と望んだ。

節目の日を迎えるに当たり、拉致被害者の有本恵子さん(同23)の母、嘉代子さん(86)は「他の人たちも何か情報が入るのではないかと期待をもっていたけど、この10年、何もなかった」と肩を落とした。

横田めぐみさん(同13)の母、早紀江さん(76)は、政府に「全面解決だけはどんなことがあっても引き下がらない強い姿勢でやっていただきたい」と改めて要望した。

「人生の幸せを追い求める自由を奪われてしまった」。新潟県柏崎市で家族と暮らす蓮池さんは17日、手記「拉致と決断」(新潮社)を出す。政治思想の洗脳教育、監視下の生活、子供を残して帰国した後の葛藤……。1978年の拉致からの日々や思いをつづった。

帰国を半ばあきらめ、自分の子供にも「在日朝鮮人」と自らの出自を偽ったという蓮池さん。あとがきでは、残された被害者の帰国が実現しない現状に「(政府は)被害者たちの思いを果たしてどれだけ感じているのだろうか」と疑問を投げかけた。手記には「多くの人たちに拉致を自分の家族の問題として改めて考えてもらうきっかけに」と願いを込めた。

北朝鮮は02年9月の日朝首脳会談で初めて拉致を認め謝罪。蓮池さんら5人が翌10月帰国し、北朝鮮に残っていた子供7人や夫も2年後に来日した。政府は5人を含む12件17人の被害を認定。残る12人の早期帰国を求めているが、日朝政府間の溝は埋まっていない。

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