「学歴あっても就職しない女性多い」 男女共同参画白書
政府は15日の閣議で、2010年版「男女共同参画白書」を決定した。高校以上で教育を受けた女性が仕事に就いている割合が、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の30カ国中29位と説明。学歴があっても社会の中で生かす機会や受け皿が十分でない実態を指摘している。
内閣府が07年の各国の就業率を、高等教育を受けた24~64歳の女性を対象に分析した。ノルウェー(88.8%)がトップで、スウェーデン(88%)、英国(85.8%)と続き、最下位は61.2%の韓国だった。日本は66.1%で1999年に比べて4.7ポイント上昇したが、OECD全体の平均値79.5%を大きく下回っている。
白書は「高等教育によって形成された女性の能力が、日本では就業の形で十分に生かされていない」と説明。仕事に就いても結婚などを機に退職する女性が依然として多いことが原因とみている。男女の給与に格差があることも女性の就労を妨げている一因としている。
今後の対策としては「女性の能力を高め、それを発揮できる環境整備を進めていく必要がある」と強調。仕事と子育てを両立できる就業環境の整備や、理工系分野での女性の活躍の機会を増やす必要性を訴えている。
一方、白書は結婚や子育てに伴う退職を減らせば、最大で445万人の労働力増加につながるとの試算も提示。就業者と求職活動をしている人の割合を示す労働力率で、女性は20代と40代に比べて30代が落ち込む「M字カーブ」になっており、この「くぼみ」を解消できれば少子高齢化による労働力人口の減少を緩和できるとしている。