2017年11月23日(木)

生活保護、老齢加算廃止は「違法」 福岡高裁で原告側初勝訴

2010/6/14付
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 国の生活保護制度見直しによる「老齢加算」廃止は違法として、北九州市の74~92歳の39人が保護費減額の取り消しを市に求めた訴訟の控訴審判決で福岡高裁の古賀寛裁判長は14日、「高齢者の最低生活水準を維持するための検討が不十分で、正当な理由のない不利益変更で違法」とし、請求を棄却した一審・福岡地裁判決を取り消し、全員の減額処分を取り消した。

 70歳以上に支給されていた老齢加算廃止に対し「憲法の保障する生存権を侵害し違憲」とする原告側主張については判断しなかった。

 同種訴訟は全国8地裁に起こされているが、これまでの東京高裁と東京や福岡など4地裁での判断は、いずれも原告側請求を棄却。初の高裁判決だった先月27日の東京高裁判決は「老齢加算の廃止には国の財政状態など合理的な理由があった」などと退け、原告側が上告中。今回の判決で高裁レベルの判断が分かれたことから、最高裁の判断が注目される。

 古賀裁判長は、老齢加算廃止の方向性を打ち出した2003年12月の厚生労働省の専門委員会の答申に言及し、「廃止に際し、高齢者世帯の最低生活水準の維持への配慮や激変緩和措置を同省に提言した」と指摘。

 同省は答申のわずか4日後に廃止を決定。古賀裁判長は「生活水準維持の観点からの検討はなく、受給者の受ける不利益を検討した上で減額幅を決定した形跡もない」と述べ、「提言された考慮すべき事項を十分検討したとはいえず、著しく妥当性を欠く」と批判した。

 老齢加算は70歳以上の高齢者について60歳代以下に比べて食費や衣服費などが余計に必要として1960年に創設。老齢加算を04年4月以降に段階的に減額・廃止するとした厚労省の決定を受け、北九州市は1人あたり月額1万7930円の老齢加算を06年3月までに全廃した。

 北九州市は「厚労省などの指示を仰いで今後の対応を決める」としている。

 生活保護制度の見直しを巡っては、ひとり親世帯に支給している「母子加算」も国が06年に廃止を決定。09年までに段階的に廃止されたが、政権交代後の昨年12月に全額復活。これを受け、支給をやめた各地の自治体を訴えていた原告らは今年4月、一斉に提訴を取り下げている。

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