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熊本の鳥インフル、感染源「渡り鳥の可能性」 農水省

殺処分した鶏の埋却作業が進む養鶏場(14日午後、熊本県多良木町)=共同

熊本県多良木町の養鶏場で大量死した鶏から鳥インフルエンザウイルスが検出された問題で、熊本県は14日夜、この養鶏場と、経営者が同じ同県相良村の養鶏場の鶏約11万2000羽の殺処分を終えた。正式に確認されれば3年ぶりとなる国内養鶏場での発生だが、専門家らは「初動対応が迅速だった」と評価。ただ農林水産省は「渡り鳥が感染源」との見方を示し、国などは拡大防止に懸命だ。

多良木町の養鶏場から県に鶏大量死の連絡が入ったのは12日午後3時半。県は感染拡大を防ぐ準備に着手し、午後9時ごろには「鳥インフルエンザ感染の疑いが強い」と、多良木町と相良村に一報を入れた。殺処分にあたる職員や消毒ポイントの選定など態勢を整えるように要請した。

この2町村では翌13日早朝に、招集を受けたほぼ全職員が登庁。防疫策の実施について県と打ち合わせをした。相良村によると、2011年に鳥インフルエンザ感染が南九州で広がった事態の教訓を生かし、昨年11月に県と周辺自治体で緊急時の連携態勢や対応策を取り決めていたという。

13日午前に始まった殺処分には約300人の県職員らが従事。蒲島郁夫知事は14日午前、陸上自衛隊の支援も要請し、消毒用石灰の運搬も含め自衛隊員約200人も作業を担った。

04年に京都府で発生した鳥インフルエンザでは匿名の通報まで約1週間を要し、被害が拡大した。京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長の大槻公一教授(獣医微生物学)は「後手に回り被害が拡散した過去の教訓が生きた」と指摘。殺処分した農家への補償の充実などに加え、「国内の生産者の防疫への意識が高まった」と話す。

多良木町に隣接するあさぎり町で養鶏場を営む60代男性は13日午前1時半ごろ、県から発生の一報のファクスを受け取った。正式発表の約6時間前の連絡に、男性は「報告が素早かったおかげで、鶏舎の消毒なども順調に進んだ」と振り返った。

農水省はこれまでに渡り鳥が感染源の可能性を示し、野鳥の侵入を防ぐネットの設置など衛生管理の強化を求めた。環境省も15日に野鳥の緊急調査チームを現地に派遣。渡り鳥をはじめとした野鳥の生息状況などを把握する方針だ。

ただ鳥のフンに接触したネズミなどの小動物を介して広まることもある。相良村の養鶏場から10キロ圏で採卵鶏約3500羽を飼育する男性は、野鳥の侵入を防ぐネットを鶏舎に設置。道路には消毒用の石灰をまき、自らも渡り鳥のいる池を避けるなどしている。それでも「いくら対策してもウイルスは完全に防ぐことは難しい」と漏らす。

感染の疑いがある渡り鳥は、5月ごろまで日本国内にとどまるとされる。東北大大学院の押谷仁教授(ウイルス学)は「人への感染リスクはほとんどない」としているが、「感染経路を究明して今後の予防対策の参考にしていくことが大切だ」としている。

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