2019年2月21日(木)

女優の森光子さん死去 92歳、「放浪記」主演2000回

2012/11/14付
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演劇「放浪記」を2000回以上も演じ続け国民栄誉賞にも輝いた女優の森光子(もり・みつこ、本名・村上美津=むらかみ・みつ)さんが10日午後6時37分、肺炎のため、東京都内の病院で死去した。92歳だった。

森光子さん=共同

森光子さん=共同

京都木屋町の割烹(かっぽう)旅館で生まれ、京都府立第一高女中退後、いとこの時代劇スター嵐寛寿郎の独立プロに入り、1935年「なりひら小僧(こぞう) 春霞(はるがすみ)八百八町」で映画デビュー、娘役で多数の時代劇に出演した。41年に上京し、東海林太郎らの前座歌手になり、戦争中は満州(中国東北部)、東南アジア、中国の戦地慰問の巡業に参加した。

終戦後は進駐軍のキャンプをまわるジャズ歌手となり、関西で歌手や女優をしていたが、結核を発病。52年に芸能界に復帰し、喜劇女優として頭角を現した。ミス・ワカナ、ミヤコ蝶々・南都雄二、横山エンタツらと舞台やラジオで共演し、中田ダイマル・ラケットと組んだ朝日放送の「びっくり捕物帖(ちょう)」が全国的な人気を呼んだ。

58年、梅田コマ劇場で「あまから人生」に出演中、東宝重役だった劇作家の菊田一夫に見いだされ、活動の拠点を東京に移した。61年10月、日比谷の芸術座で初演された「放浪記」(菊田一夫作)で、原作者の林芙美子役で初の主役に抜擢(ばってき)。体当たり的な演技が注目され、芸術祭文部大臣賞を受賞した。

2009年5月、国民栄誉賞受賞が決定し、舞台「放浪記」の共演者から祝福を受ける森光子さん=中央(東京・丸の内の帝国劇場)=共同

2009年5月、国民栄誉賞受賞が決定し、舞台「放浪記」の共演者から祝福を受ける森光子さん=中央(東京・丸の内の帝国劇場)=共同

59年、テレビディレクターの岡本愛彦氏と結婚するが、4年後に離婚。「越前竹人形」「おもろい女」などの舞台が高く評価され、テレビではTBSの「天国の父ちゃんこんにちは」の母親や「時間ですよ」の風呂屋の女将が広く親しまれた。74年から14年間、フジテレビのワイドショー「3時のあなた」の司会を務めた。

セリフ覚えの早さに定評があり、歯切れの良さが持ち味だった。「放浪記」は2000回以上を演じ、主演を続けた舞台としては史上最長。喜びを爆発させる舞台上のでんぐり返しも86歳まで続け観客を喜ばせたが、2010年、健康状態への配慮を理由に公演を中止した。

98年に文化功労者。05年に現代演劇の俳優としては森繁久弥、山田五十鈴に次いで文化勲章を受章。09年7月に国民栄誉賞を受賞した。

07年12月、日本経済新聞に「私の履歴書」を連載した。

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