ネット商店街の商標権侵害、放置「運営元にも責任」
知財高裁、控訴を棄却
商標を無断使用したグッズがネット販売された場合に、取引の場を提供したネットモールの運営元が商標権侵害の責任を負うかが争われた訴訟の控訴審判決が14日、知的財産高裁であった。中野哲弘裁判長は「侵害を容認、放置すれば運営元にも責任が生じる」との判断を示した。ネット通販での商標権侵害を巡り、モール運営元にも責任が生じうることを認めた判決は初とみられる。
運営元は、紛争は権利者と出品者間で解決すると規約で定めているのが普通だが、今回の判決に沿えば、無条件では免責されないことになる。出品の容易さや利便性から市場規模拡大が続くネット通販業界に影響を与えそうだ。
中野裁判長は、今回の訴えについては商標権者の指摘から商品が削除され、問題は是正されたと判断。差し止めや損害賠償請求を退けた一審を支持し、商標権者側の控訴を棄却した。
原告は、棒付きキャンディー「チュッパチャプス」の商標を管理するイタリアの企業。ロゴが無断使用されたマグカップや帽子などがネットモール「楽天市場」で売られているとして、運営する楽天に侵害差し止めと賠償を求めていた。
中野裁判長は判決理由で「商標権侵害は犯罪行為であり、モール運営元が侵害を容認すれば、ほう助に当たる可能性もある」と指摘。運営元は商標権侵害の指摘を受けた場合は速やかに調査すべきだとして「それを怠り、侵害を知ってから合理的期間内にそのページを削除しない場合は、運営元も出品者と同様の責任を負う」と述べた。
その上で、今回問題になった商品は、いずれも商標権者の指摘などから8日以内に削除されており「楽天が合理的期間内に問題を是正したと認められる」として、賠償責任を認めなかった。
一審・東京地裁判決は「販売主体は出品者で、楽天は当事者ではない」として請求を棄却し、原告側が控訴していた。