チンパンジー、顔見るポイント左に ヒトと同じ
チンパンジーも他者の顔を見る際、向かって左側に見える特徴を優先的に捉えて顔を認識し、表情を読み取っているとみられることを京都大霊長類研究所の足立幾磨助教のチームが実験で明らかにし、米科学誌電子版に14日発表した。
感情や心の状態が表れ、社会生活の中で重要な情報源となる顔。ヒトは、左の視野に入った情報を優先して右脳で処理し、顔を区別するなどしているが、チンパンジーも同様とみられる。
チームはゴリラやボノボなどでも調べ、ヒトが進化の過程でいつから、なぜこのように顔を認識するようになったのかを解明したいとしている。
実験では、顔を見分けられるようにした4匹のチンパンジーに、他のチンパンジーの顔写真を示し、覚えさせた。
その写真の顔左半分だけを合わせて一つの顔にした写真と、同じように右半分で合成した顔写真を同時に見せ、どちらがもとの顔と同じに見えるかを何度も選ばせた。
すると、左半分の合成写真を選ぶ頻度が高く、顔の左側の特徴を優先的に捉え、強い印象を受けていると分かった。
ただ、同様の実験でヒトがチンパンジーの顔写真を選んだ場合は頻度に大きな差は出ず、ヒトにとってチンパンジーの顔の見分けは難しかった。
足立助教は「ヒトは幼いころ目にしたものとその後の経験により、他人の顔を区別し、表情を読み取る能力を発達させると考えられており、その仕組みを明らかにしたい」と話している。〔共同〕