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森口氏の肝炎研究、実験場所など疑問 本社10年報道

iPS細胞から心筋を作り、患者に移植した」との主張に疑義が相次いでいる森口尚史氏について、日本経済新聞社は2010年6月2日付の日経産業新聞に「ハーバード大研究員ら C型肝炎治療 副作用少なく iPS細胞活用」との記事を掲載しました。東京医科歯科大がこの記事について「学内でこのような実験や研究が行われた事実はない」と12日表明したため、本社が報道の経緯の検証を始めたところ、いくつかの疑問点が浮かんできました。

この記事は、同年4月15日、森口氏から日経の記者に電話をかけてきたのが取材のきっかけでした。電子メールなどでのやり取りを経て同月26日、記者が東大病院で森口氏に面会して取材しました。

森口氏から示された2件の研究成果のうちC型肝炎の治療法に関する研究成果については既に論文が米肝臓学会誌に10年1月に発表されていたことなどを踏まえ、森口氏と医科歯科大の共同研究の成果として報じました。

医科歯科大が学内での実験を否定したことで、森口氏がどこで、どのような体制を組んで実験を実施したのかとの疑問が生じます。

13日の本社記者の電話取材に対し、森口氏は「実験はすべて米国で行っており、過去の論文にうそはない」と主張しましたが、米国で必要な実験要員をどう確保しているかなどの質問には答えませんでした。

一方、論文の共著者とされた医科歯科大の佐藤千史教授は12日の記者会見で「論文の整合性の確認や実験データが正しく出されているかなどの相談を受けている。共著者として研究に関与しているという認識はある」と話しています。

本社は実験の有無とともに、もう一人の共著者の認識や、専門家の評価など、記事の信ぴょう性について、さらに調べます。

これまでの調査で、森口氏の研究成果に関する記事は10年6月の記事も含め、02年5月から12年8月までの間、日本経済新聞に8本、日経産業新聞に4本の記事を掲載したことを確認しました。 このうち、森口氏の論文が専門家の審査のある海外の科学誌や学会誌などに掲載された後や、国内外での学会発表の後に記事にしたものが6本。記事掲載後に論文が発表されたのが4本ありました。

残り2本のうち1本は統計的な分析。もう1本は研究成果をまとめた記事でした。

研究成果は、ほとんどのケースで森口氏側から医療・バイオ分野を担当する記者に電子メールなどで情報提供があり、その後の本人の取材を経て記事を掲載していました。

森口氏の研究に対する疑問の声が多方面から上がり、発言の信ぴょう性も揺らいでいることを踏まえ、本社は12本の記事の検証を今後も続けていきます。

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