米探査機ボイジャー、太陽系外に 人工物で初
【ワシントン=共同】米航空宇宙局(NASA)は12日、36年前に打ち上げられた米探査機「ボイジャー1号」が太陽系の端の領域を越え、人工物体として初めて太陽系外に広がる星間空間に旅立ったことが確認されたと、米科学誌サイエンス電子版に発表した。
ボイジャー1号が太陽系の最も端に達したことは分かっていたが、新たなデータ分析の結果、昨年8月の時点で太陽系外に出ていたことが判明した。NASAの研究者は「星間空間に人類が踏み出した歴史的な出来事だ」としている。
NASAのチームはボイジャー1号が今年春に観測したデータを使い、太陽から送り出される「太陽風」と呼ばれる粒子の流れと、太陽系外から飛来する宇宙線の変化を詳しく分析した。
太陽風が衰える一方で宇宙線に由来する電子の密度が高くなっていることから、ボイジャー1号はすでに星間空間にあると結論付けた。太陽系を出た時期は昨年8月25日ごろとみられる。
1977年に打ち上げられたボイジャー1号は木星や土星に接近して多くの写真を撮影した。現在は太陽から約190億キロ離れたところを時速約6万キロで飛行中で、地球に信号が届くまでに片道17時間かかる。
地球外の知的生命体に遭遇した場合に備え、世界55カ国のあいさつや音楽、太陽系の位置などを記録した銅製のレコードを搭載している。