木村伊兵衛氏、被爆2年後のヒロシマの写真現存
写真の巨匠、木村伊兵衛氏(1901~74年)が、被爆2年後の広島の様子を撮影した写真のプリント計約500点が現存し、広島県立文書館と同図書館にそれぞれ所蔵されていることが13日、分かった。
プリントは、広島市内や宮島の厳島神社など広島県各地の風景や人を撮影。保存状態はよく、47年当時の原爆ドームなど原爆の爪痕とともに、復興の道を歩む人々の表情や暮らしぶりを記録している。
木村氏が撮影した写真は、県観光協会が被爆地ヒロシマの実相や観光名所を海外向けに紹介するため、49年5月に発行した初の英文写真集「LIVING HIROSHIMA」(生きている広島、128ページ)に一部が使用された。
従来は、どの写真が木村氏のものかは分かっていなかった。現存するプリントは、一枚一枚が台紙に貼られ製本された状態。表紙に「木村伊兵衛撮影 文化社 昭和二十二年」と記されている。
木村氏が初代会長を務めた日本写真家協会の田沼武能会長は「原爆投下以降、ヒロシマの人々がどういう生活をしていたのかを後世に伝えるべきだとの思いから木村氏が撮影したもので、意義深い」と話している。〔共同〕