2019年2月24日(日)

毒作る細菌と共生し防衛 植物害虫、抗がん剤に応用も

2013/8/13付
保存
共有
印刷
その他

豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)などの研究チームが、かんきつ類の害虫「ミカンキジラミ」(体長約3ミリ)を調べた結果、毒を作る細菌を体内に共生させることで、天敵から身を守っていることを突き止め、13日までに米専門誌に発表した。

同大の中鉢淳准教授(共生生物学)によると、寄生相手を外敵から守る機能での安定した共生関係が確認されたのは生物で初めてといい、この毒は抗がん剤などの新薬開発につながる可能性もあるという。

研究チームが、ミカンキジラミ腹部の器官にいる2種類の細菌を遺伝子解析などで詳しく調べると、このうち「プロフテラ」と名付けた細菌が、毒性のある化合物を作っていると判明。ヒトとラットのがん細胞に与える実験で、がん細胞を死滅させることが分かった。

もう1種の細菌「カルソネラ」はミカンキジラミに栄養を供給。いずれの細菌も虫に取り込まれて細胞内小器官のように働いており、共生関係を築いた祖先を調べると、数千万年から数億年の間、卵を通じて子に受け継いできたと考えられる。

中鉢准教授は「虫の天敵は常に変化する。毒を作る細菌を体内に持つことは負担も大きく、外敵から守る機能での共生は安定しないことが多い。プロフテラのように一体化した例は世界で初めての発見だ」としている。

ミカンキジラミは樹液を吸う際、ほかの病原体も運び、ミカンなどの生育が悪くなって果実に緑色の部分が多く残るほか、樹木は数年で枯れる。もともとアジアの亜熱帯、熱帯地域に生息していたが、中東や米大陸へ広がり日本の南西諸島や九州の一部にも上陸した。

今回の研究成果を踏まえ、細菌との共生関係を壊してミカンキジラミを駆除する薬剤の開発も進めるという。〔共同〕

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報