農水省、肉用牛対策で46億円過払い 会計検査院指摘
会計検査院は12日、肉用子牛の価格が下落した際に生産者に補給金を支払う制度で、農林水産省が20年以上も算出の根拠になる規格を見直しておらず、2008~10年度に国費で約46億円の過払いがあったと指摘、改善を求めた。
検査院によると、農水省は牛の種別ごとに体重の規格を定め、対象となる子牛の市場での売買価格を集計。平均売買価格が一定の基準を下回ると、補給金や経営支援交付金が支払われる。
検査院が過去3年の実績を基に規格を見直したところ、市場で売買される肉用子牛の体重は増えており、平均売買価格は農水省の告示より、黒毛和種で約1万円、乳用種で約4千円高くなった。
この価格を基に検査院が試算すると、補給金は約38億円、経営支援交付金は約8億円、実際よりも少額で済んだ。
農水省は1989年に体重の規格を制定してから一度も改正しておらず、指摘を受けて見直しを検討する。
肉用子牛対策ではほかに、生産性向上や環境対策の強化に奨励金を出す事業で、送風機の設置など費用8万円の取り組みに対して広島県畜産協会が4千万円を交付するなど、効果がはっきりしない事例が目立った。
検査院は「個々の事業の効果を検証し、対策をより効率的にする必要がある」としている。〔共同〕