本場結城紬の検査厳格化 生産履歴を全面記録
茨城県結城市などの特産品で、生産技法が国の重要無形文化財に登録されている高級絹織物・結城紬(つむぎ)を代表する「本場結城紬」の検査基準が、2月から厳格化される。生産履歴を全面記録して類似品との違いを際立たせ、高級品としての価値を守るためで、茨城県と協議していた。
本場結城紬検査協同組合関係者によると、製品の織り手が受検する際、染色したり糸を紡いだりした人など、生産に携わった全業者の登録番号の記入が義務化される。これまでなかった糸取り業者の記入欄が新設され、記入を徹底する。
結城紬は(1)手紡ぎ糸の使用(2)「かすりくくり」と呼ばれる染色法(3)地機織り――の3技法が、1956年に国の重要無形文化財に指定。2010年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。
結城紬をめぐっては、国民生活センターに「ネットオークションで買ったが本物かどうか判断できない」「仕立てた着物が偽物だった」など、苦情や問い合わせも寄せられている。検査協の外山好夫副理事長は「生産履歴を残し、消費者に分かりやすい形をつくっていきたい」と話している。
結城紬は、結城市や栃木県小山市を中心に古くから生産されている高級絹織物。室町時代に豪族の結城氏が幕府に献上したのが名称の由来とされる。本場結城紬は国産糸を用い、全工程を手作業でこなす。〔共同〕