2019年1月24日(木)

「イレッサ」原告、全面敗訴 最高裁が棄却

2013/4/12付
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肺がん治療薬「イレッサ」の副作用を巡り、東日本の死亡患者2人の遺族が国と輸入元の製薬会社「アストラゼネカ」(大阪市)に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は12日、製薬会社に対する原告側上告を棄却した。国の勝訴は既に確定しており、原告側全面敗訴の二審・東京高裁判決が確定した。

西日本の患者や遺族が起こしていた同種訴訟についても同小法廷は同日、原告側の上告を退ける決定をし、原告側全面敗訴の二審・大阪高裁判決が確定。イレッサの副作用を巡る一連の訴訟は終結した。

訴訟では国が輸入販売を承認した2002年7月当時、医療機関向け添付文書に記載した副作用の注意喚起が不十分で、製造物責任法(PL法)上の欠陥に当たるかが争点になった。

当初の添付文書には、死に至る間質性肺炎の危険性が「警告」欄ではなく「重大な副作用」欄の4番目に記載されており、原告側は文書に欠陥があったと主張していた。

同小法廷は判決理由で、添付文書の記載が適正かどうかは「医薬品を処方する医師の知識や能力、記載の体裁などを総合考慮し、予見できる副作用の危険性が十分明らかにされているかで判断すべきだ」と指摘した。

そのうえで「抗がん剤には一般に間質性肺炎の副作用があり、肺がん治療を行う医師が添付文書を読めば、危険性を認識できたのは明らか」と判断。製薬会社が、イレッサ特有の急速に重篤化する間質性肺炎を予見できたともいえないとして、添付文書の記載は不適切とはいえないと結論付けた。5人の裁判官の全員一致。

大谷剛彦裁判官(裁判官出身)と大橋正春裁判官(弁護士出身)は補足意見で「販売開始直後に副作用の危険が顕在化した場合、患者にのみ受忍を求めるのは疑問が残る。副作用のリスクを社会でより広く分担し、被害者の保護や救済を図ることも考えられて良い」と述べた。

一審・東京地裁判決は文書の欠陥を認め「国は安全確保のための行政指導が不十分だった」として、国と会社に計1760万円の賠償を命令。これに対し二審は「イレッサを使うがん専門医らは間質性肺炎での死亡があり得ることを把握していた」として、国と会社の責任を否定した。原告側は上告したが、最高裁は今月2日、国に対する原告側上告を退け、先に国の勝訴が確定していた。

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