2019年1月23日(水)

「iPS臨床応用」日本人表明で混乱 米大学は否定

2012/10/12付
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【ニューヨーク=共同】「体を構成する様々な細胞になるiPS細胞から心筋を作り、患者の心臓に移植する初の臨床応用をした」と米ハーバード大客員講師を名乗る森口尚史氏が米国での学会で発表しようとしたが、森口氏が治療をしたとするマサチューセッツ総合病院とハーバード大は11日、声明を発表し、正規の手続きを経た臨床応用が行われたことを否定した。声明は「森口氏に関連した治験が承認されたことはない。現在、両機関とも森口氏と関係はない」としている。

森口氏は共同通信の電話取材に「ハーバード大に所属している。証明書類は日本に置いてある」と説明した。

森口氏は同日までにロックフェラー大で開かれているトランスレーショナル幹細胞学会で治療の内容をポスターで掲示した。だが、学会は「内容に疑義がある」としてポスターを撤去。12日は森口氏本人がポスターの前で参加者らに説明する機会も設けられていたが、予定の時間を過ぎても会場に姿を現さなかった。

iPS細胞については、山中伸弥京都大教授のノーベル生理学・医学賞受賞が決まったばかり。世界的に注目される同細胞の研究を巡って混乱する異例の事態となった。

森口氏のポスターなどによると、肝臓移植を受けた後に心臓の機能が落ちる虚血性心筋症になった34歳の男性に対し今年2月、摘出後の肝臓組織から、肝細胞になる手前の前駆細胞を取り出し、細胞増殖に関わる薬剤を加えてiPS細胞を作製。これを心筋細胞にして増殖させた上、弱った心臓の約30カ所に特殊な注射器で注入したという。

山中教授が開発した4種類の遺伝子を入れるものとは方法が異なる。森口氏は共同通信の取材に「大学の倫理委員会を通すなど、きちんと手続きを経て研究を進めている。iPS細胞を作る手法が山中教授と違うと言われるが、私は私のやり方でやっていて、移植後も問題は生じていない」と説明していた。

学会を主催する「ニューヨーク幹細胞財団」は声明で、研究について必要な承認を得るのは発表者の責任であり、財団は発表に疑問が生じた場合は(ポスターを)撤去する権利があるとした。

森口氏は東京大病院特任研究員。東京医科歯科大で看護学を学び卒業、医師の免許は持っていないという。

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