巨大津波、住宅や車のみ込む 仙台空港は水没
宮城、東北大地震
仙台市を南北に流れる名取川では、海から押し寄せた茶色い巨大な津波が川を逆流。猛烈な勢いでおびただしい数の住宅や車をのみ込み、仙台空港(宮城県名取市)は完全に水没した。地震発生直後から各地で上がった火の手と煙は、広がり続けた。

名取川を逆流した流れは、仙台市や名取市などの田園地帯にあっという間に広がり、平野部一帯が海の浅瀬のように覆い尽くされた。
濁流は速度を緩めずに多くの住宅をなぎ倒し、何台もの車を次々と巻き込む。海岸線から西に約1キロ離れた仙台空港にも到達し滑走路や駐機場が湖のように水没。孤立したターミナルビルの屋上に利用客らが避難した。
仙台市南部では広範囲にわたり火災が発生。夕暮れを迎えた平野部のあちこちから、火の手と煙が上がった。
土砂を巻き込んで濁流となった最大7メートルを超える津波に襲われ、田畑が埋め尽くされた福島県相馬市では、港付近の木造家屋などが押し流され次々と倒壊した。浸水した家屋の屋上へと逃げる住民の姿もあり、炎上した民家からは黒煙が上空高く立ち上った。
相馬市役所の女性職員によると、津波は沿岸から5キロほど内陸を走る国道6号あたりまで押し寄せ、小学校や家屋など数百棟が濁流にのみ込まれた可能性がある。市役所では避難してきた住民に飲料や食料など支援物資を手渡すために職員が総出で対応。女性職員は「浸水していない小中学校などへの避難者は数千人にのぼるようだ。死者や行方不明者が出たとの情報も入ってきているが、確認できないほど混乱している」と話した。
青森県八戸市では岸壁を乗り越えた津波が網の目のように住宅街へと流れ込み、住居や倉庫の1階付近まで上昇、コンテナや自動車などが漂流した。津波は午後5時過ぎ、引き波となって高スピードで港の方向へ戻り、岸壁に乗り上げた船舶を横倒しにし、ヘッドライトがついたままの乗用車を海へ流した。
岩手県釜石市では午後3時15分ごろ、押し寄せた津波に流された漁船や車が、港近くの陸橋の橋脚に次々とたたきつけられた。多くの車が止まっていた陸橋上にもじわじわと押し寄せ、Uターンして避難しようとする車も目撃された。