2019年2月21日(木)

ワシントンで自転車通勤ブーム 渋滞回避、女性にも浸透図る

2013/5/11付
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米国の首都ワシントンで、自転車通勤が拡大している。地下鉄網の老朽化が進み、車両や信号の故障によるダイヤ混乱も日常茶飯事とあって、朝夕の幹線道路の大渋滞は全米でも有名。通勤のストレスを嫌う自転車族は、若者層を中心に増えている。より快適な自転車通勤や、女性への普及に向けた取り組みも進んでいる。

隣接するメリーランド州やバージニア州などからの通勤者も多いワシントン。自転車愛好家として知られたフェンティ前市長は、渋滞の解消に役立ち、環境にも優しい自転車通勤を推進した。

高低差があまりなく走りやすいこともあり、専用レーンや駐輪場、レンタル自転車が急速に整備され、米自転車専門誌の「自転車に優しい街」ランキングで常に全米トップ10に入る街に変貌した。米商務省によると、ワシントンの自転車通勤は3割強と5年前の2倍となり、全米最高だ。

自転車利用が増えるにつれ、歩行者や自動車といかに共存するかの議論が高まった。

市北西部の自宅から約5キロ離れた職場まで毎日自転車で通う女性弁護士のバレリーさん(36)は「小さな接触事故を目撃したり、ひやっとしたりは毎日」と話す。1年前に市内最大の自転車擁護団体「ワシントン地区バイシクリスト協会」の会員になった。同協会は、自転車普及や安全教育、当局へ安全環境の整備を求める活動を展開する。

特に改善を求めているのが、運転が荒いタクシー。客の乗り降りの際、路肩沿いの自転車レーンに突然突っ込んでくるため、危険が絶えない。前後を確認せずに唐突に開くドアも恐ろしい。

協会のグレッグ・ビリング氏は「タクシーの悪質運転改善はここ数年の焦点」と指摘。タクシー会社に運転手の指導を求めるとともに、市当局には取り締まりを強化するよう訴えている。

協会など自転車団体の働きかけで、法律も変わった。

連邦議会とホワイトハウスを一直線に結ぶペンシルベニア通りは、大統領が就任時にパレードする片側4車線の道路。自転車レーンは車道の中央分離線沿いに配置されている。進行方向を変えようとする車が、道路の真ん中を走る自転車の前を高速で横切る危険な光景が頻発していた。

そこでワシントン市は緊急法を制定、昨年12月から同通りでのUターンを禁止した。より安全な走行環境にするため、協会が協力し、自転車レーンと一目でわかるようにデザインも変更された。

協会は今春、現在は自転車利用者の2割強にすぎない女性への普及を促すため、「ウーマン・アンド・バイシクル」プログラムを始めた。バレリーさんもさっそくメンバーになった。「すっかり自転車啓蒙活動家になったわ」。5月は「全米自転車月間」でもあり、交流サイト「フェイスブック」上で他のメンバーたちと活発に情報を交換している。サイクリングやお茶会で予定はいっぱいだ。

(ワシントン=岩本昌子)

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