いじめで中2男子自殺か ノートに「死ねと言われた」
名古屋市教育委員会は11日、同市南区の市立中学校に通う2年生の男子生徒(13)が10日に自宅近くのマンションから転落死したと発表した。愛知県警は自殺とみている。生徒の自宅から、複数の人から「死ね」と言われたとの趣旨の内容が書かれたノートが見つかり、市教委はいじめが原因の可能性もあるとみて事実関係の調査を始めた。
市教委によると、生徒は10日昼すぎ、学校から帰宅し、昼食後に外出。午後3時30分ごろ、周辺住民から学校に「男子生徒がマンションから落ちたらしい」と連絡があり、敷地内の植え込みに制服姿の生徒が倒れているのが見つかった。
生徒は搬送先の病院で死亡が確認。県警によると、マンションの11階通路付近で生徒の指紋が見つかり、県警は自殺の可能性が高いとみている。
市教委によると、生徒が外出した後、母親が自宅でノートを発見、学校を訪れた。中には「複数の人に『死ね』と言われた」「自分に嫌気が差した」との趣旨の内容が書かれていた。個人名や時期などは明記されていなかった。
生徒はソフトテニス部に所属し、無断欠席などはなかった。6月下旬ごろには秋の合唱祭の指揮者に立候補し、選ばれたという。
捜査関係者によると、男子生徒が10日に帰宅する直前、「数人の生徒から『死んでみろよ』と言われているのを見た」との複数の目撃証言があるといい、事実関係を調べている。
市教委に対し担任教諭は、「死ね」などの発言は聞いていないと説明しているという。
生徒が通う中学校の校長は記者会見で、この生徒や保護者からの相談について「現在のところ無かったと把握している」と述べたが、今後教員や他の生徒への聞き取りなどをする。
2011年に起きた大津市の中2男子自殺などを受け、今年6月には国会でいじめ防止対策推進法が成立。12年度のいじめ認知件数が1616件(前年度比29件増)だった名古屋市でも、小学校へのスクールカウンセラーの配置を増やすなどの対策を進めている。
会見に同席した河村たかし市長は「(学校側から)何事も隠さず報告してもらうよう指示した。二度とこういう事が起きないよう、徹底してやる」と述べた。