2019年9月21日(土)

歌会始の歌

2012/1/12付
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天皇、皇后両陛下、皇族方、召人、選者、入選者の歌は次の通り。

天皇陛下

津波来(こ)し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる

皇后さま

帰り来るを立ちて待てるに季(とき)のなく岸とふ文字を歳時記に見ず

皇太子さま

朝まだき十和田湖岸におりたてばはるかに黒き八甲田見ゆ

皇太子妃雅子さま

春あさき林あゆめば仁田沼の岸辺に群れてみづばせう咲く

秋篠宮さま

湧水(ゆうすい)の戻りし川の岸辺より魚影(ぎよえい)を見つつ人ら嬉しむ

同妃紀子さま

難(かた)き日々の思ひわかちて沿岸と内陸の人らたづさへ生くる

秋篠宮家長女眞子さま

人々の想ひ託されし遷宮の大木(たいぼく)岸にたどり着きけり

常陸宮さま

海草(うみくさ)は岸によせくる波にゆらぎ浮きては沈み流れ行くなり

同妃華子さま

被災地の復興ねがひ東北の岸べに花火はじまらむとす

三笠宮妃百合子さま

今宵(こよひ)揚(あ)ぐる花火の仕度(したく)始まりぬ九頭竜川の岸の川原に

三笠宮家の寛仁さま長女彬子さま

大文字の頂に立ちて見る炎みたま送りの岸となりしか

高円宮妃久子さま

福寿草ゆきまだ残る斐伊川の岸辺に咲けり陽だまりの中

高円宮家長女承子さま

紅葉の美(は)しき赤坂の菖蒲池岸辺に輝く翡翠(かはせみ)の青

高円宮家次女典子さま

対岸の山肌覆ふもみぢ葉は水面の色をあかく染めたり

高円宮家三女絢子さま

海原をすすむ和船の遠き影岸に座りてしばし眺むる

▽召人(敬称略)

堤清二

雲浮ぶ波音高き岸の辺に菫咲くなり春を迎へて

▽選者(敬称略)

岡井隆

いのちありてふたたびドナウ源流の岸べをゆきし旅をしぞ思ふ

篠弘

かはらざりし北上川に花びらが岸のほとりの早瀬を走る

三枝昂之

なほ朽ちぬこころざしありふるさとの岸辺に灯る甲州百目

永田和宏

舫ひ解けて静かに岸を離れゆく舟あり人に恋ひつつあれば

内藤明

源は雲立てる山ゆつくりと流るる川の岸辺をあゆむ

▽入選者(敬称略)

茨城県 寺門龍一

いわきより北へと向かふ日を待ちて常磐線は海岸を行く

埼玉県 佐藤洋子

対岸の街の明かりのほの見えて隠岐の入り江の靜かなる夜

奈良県 山崎孝次郎

相馬市の海岸近くの避難所に吾子ゐるを知り三日眠れず

長野県 小林勝人

ほのぼのと河岸段丘に朝日さしメガソーラーはかがやき始む

大阪府 山地あい子

しほとんぼ追うて岸辺をかける子らつういつういと空はさびしい

千葉県 宮野俊洋

春浅き海岸に咲く菜の花を介護のバスが一回りせり

カンボジア 渡辺栄樹

子らは浴み岸辺に牛が草を食(は)むこぞの我らが地雷処理跡

京都府 大石悦子

とび石の亀の甲羅を踏みわたる対岸にながく夫を待たせて

福島県 沢辺裕栄子

巻き戻すことのできない現実がずつしり重き海岸通り

大阪府 伊藤可奈

岸辺から手を振る君に振りかへすけれど夕日で君がみえない

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