お待たせ初メダル、夜空に舞ったスノボ10代の2人
【ソチ=五輪取材班】観衆が目で追い切れないほど滞空時間の長いエア。横3回転に縦2回転を加えた大技――。ソチ五輪で11日(日本時間12日)、日本に待望のメダルをスノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢選手(15)と平岡卓選手(18)がもたらした。10代の2人がソチの夜空に次々と舞い、日本のスノボの歴史を塗り替えた。
五輪3連覇がかかる最終滑走の王者、米国のショーン・ホワイト選手のスコアが伸びず、銀メダルが決まった瞬間、平野選手は少し驚いたような表情。銅メダルの平岡選手とハイタッチを交わし、青野令選手(23)と抱き合うと、ようやくメダルを実感したのか、うれしそうに歯を見せて笑いあった。
平野選手は15歳2カ月。日本選手として冬季五輪で最年少のメダリストとなった。五輪のスノボで日本がメダルを得たのは初めてだ。
11日午後9時半(日本時間12日午前2時半)に始まった決勝の1回目。予選を92.25点の同スコアで通過した平野選手が最後から2番目、平岡選手が3番目の滑走だった。
先に滑った平岡選手は着地で失敗。続く平野選手は4メートルを超える高いエアを武器に、この時点でただ一人の90点以上のスコアをたたきだした。暫定1位で折り返したものの、ゴーグルを外した目元は冷静だった。
続く2回目。有力選手が次々失敗する中、平野選手を上回るスコアを出したスイスの選手に続き、平岡選手がミスのない滑りで92.25点を出して2位に。笑顔を見せると、上位3選手が座るリーダーボードの前で、次に滑る平野選手を待った。
普段は淡々と競技をこなす平野選手も、このときはやや緊張した表情。落ち着かせるようにスタッフに胸元を何度かたたかれたが、全長180メートルのコースに滑り出すと、冷静に1回目を上回る美しい技を決め、平岡選手を上回る93.50点をつけた。
競技終了後のフラワーセレモニー。平岡選手は笑顔で花束を掲げた。まだどこか現実を受け入れられない様子ではにかむ平野選手は、大技を次々と決めた競技中とは違い、等身大の中学3年のように見えた。