福島の住民内部被曝、15歳以下ゼロ 12年5月以降
東京大の早野龍五教授らは10日、東京電力福島第1原発事故による住民の内部被曝(ひばく)の状況を調べた結果、2012年5月以降、15歳以下の1万人からは放射性セシウムが検出されなかったと発表した。
成人を含めた約3万3千人では、検出された人の割合は同年3月以降で1%程度だった。食品の検査が適切に実施され、住民も食事に気を配っていることなどが要因とみている。
早野教授らは11年10月~12年11月、福島県平田村の病院に設置した「ホールボディーカウンター」と呼ぶ機器を使い、福島県や茨城県などの住民延べ3万2811人を調査した。
11年11月と同12月は15%から放射性セシウム137が検出された。12年3月、衣服の汚れなどの影響を取り除くため、検査着に着替えて体内被曝量を測る方法に変更した後は平均で1%程度になった。15歳以下に限ると、12年3~4月に計12人から検出されたが、5月以降は1人も検出されなかった。
旧ソ連のチェルノブイリ原発事故による土壌汚染量に基づいた試算では、食品由来の内部被曝は年間5ミリシーベルト程度になると予想されていた。今回は高くても1ミリシーベルト程度で大幅に下回った。
調査では、データが偏らないよう福島県三春町については小中学生のほぼ全員を測った。早野教授は「内部被曝が低い住民だけを抽出した結果ではないので、信頼できる数字だ」と話している。