太宰治のノートや日記を一堂に 日本近代文学館
「人間失格」「斜陽」などの小説で知られる作家の太宰治(1909~48年)が旧制青森中学、旧制弘前高校在学中に書いた日記や授業で使用したノートなどの資料22点が日本近代文学館(東京・目黒)に寄贈され、同館が10日、発表した。

寄贈されたのは科目名が記されたノート、教科書、人物の絵が描かれた半紙、旧制中学3年生だった26年に書いた日記など。横山武夫・元青森県立図書館長が太宰の実兄、津島文治・元青森県知事から受け取ったものを遺族が保管していた。
日記は全集に収録され、ノートなども一部は過去に展示会で公開されているが、研究用の資料としてまとめられるのは初という。
「地鉱 津島修治」と題されたノートには、授業内容の書き取りとともに、「芥川龍之介」と何度も書かれている。太宰が弘前高校時代に創刊した同人誌「細胞文芸」の表紙や、自身のペンネームの構想を書いたと見られるページもある。
安藤宏東大教授(日本近代文学)は「太宰が芥川に傾倒していたとは聞いていたが、それが裏付けられた。遊んでいたイメージの強い太宰が、一生懸命授業を受けていたことも分かる」と話した。資料の一部は今秋、同館で公開される予定。〔共同〕