「温室育ち」のトキ、5組が抱卵 36年ぶりひな誕生か

2012/4/11付
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新潟県佐渡市で放鳥した国の特別天然記念物トキが繁殖期を迎えている。過去2年間は繁殖に失敗。ひなが誕生すれば野生では1976年以来36年ぶりとなる。順調なら週内にもふ化する可能性があるが、厳しい自然が"温室育ち"の放鳥トキの前に立ちはだかる。

10日現在、佐渡市内では6組が巣を作り、うち5組が卵を温める「抱卵」を継続中。3月18日に抱卵を確認した3歳雄と2歳雌の巣では卵4個が撮影された。最初の産卵は16日か17日ごろとみられる。ふ化までは約28日間とされ、早ければ4月13日にもふ化するが、「有精卵ならば」との条件がつく。

今年は冬季の豪雪や低温により餌が減少。野生生物全体に厳しい環境となっており、人間の管理下で餌を与えられ生きてきたトキが耐えられるかとの懸念は強い。3歳雄と2歳雌は放鳥から初の産卵で、経験値が低いこともマイナス材料だ。

さらに、佐渡市内では4日未明、最大瞬間風速43.5メートルの強風を記録。3年連続で産卵し、最も期待されていた6歳雄と4歳雌を含む3組が巣を放棄した。今年初めて巣近くに設置した小型カメラも暴風でずれ、巣の様子を把握できず、ふ化したとしても確認に時間を要する可能性もある。

専門家らによる「トキ野生復帰分科会」の会合では、2年連続の繁殖失敗について、テンやカラスなどの天敵による卵の捕食やストレスが原因で、交尾や抱卵に集中できなかったとの見方が強い。交尾の少なさは、無精卵が多い要因になっているとの意見もある。

佐渡トキ保護センター内で昨年生まれた155個のうち有精卵は79個で、56羽がふ化した。一方、昨年回収した放鳥トキの卵約30個分の殻を分析した結果、ルミノール反応で有精卵とみられるのはわずか3個だった。

環境省の長田啓首席自然保護官は「有精卵の割合が低いのか、天敵が選んで捕食するのか調査の必要がある」と指摘。ただ5回の放鳥を重ねたことで、3月30日時点で45羽が生存を確認されており、「産卵の経験があるつがいも増えている」と期待を寄せている。〔共同〕

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