プレート境界、ゆっくり滑る場所でも大地震の恐れ
海洋機構など解析
海洋研究開発機構と米カリフォルニア工科大学はプレート(岩板)の境界がゆっくり滑っている場所でも、大地震が起こる可能性があることを突き止めた。過去の大地震をシミュレーション(模擬実験)で再現し、解析した。
従来はこうした場所では、プレート間にひずみがたまらず、大地震は起こらないと考えられてきた。今後の地震研究に生かす考えだ。成果は英科学誌ネイチャー(電子版)に10日掲載された。
現在の地震学では、プレート間が強くくっつく「固着」が生じた場所ではひずみがたまり、そこが大きくずれることで大地震が起きると考えられている。固着が弱い場所ではプレート間が滑り続けるため、ひずみがたまりにくいとの見方が強かった。
研究チームは1999年に台湾で起きたマグニチュード7.6の地震の震源付近で採取した岩の強度や摩擦抵抗などを調べ、模擬実験で数千年間の動きをみた。ゆっくりな滑りが起きていた場所でも、近くで一定規模以上の地震が起きるとプレート間が一気にずれ、大地震が起きるという。
日本では房総半島沖などでゆっくりな滑りが観測されている。東日本大震災の震源域の中にも、ゆっくり滑っていると考えられていた場所が含まれていた。研究チームは「長期的な観点から、大地震のリスクを評価することが重要だ」と話している。
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