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途上国では水銀汚染拡大 採掘現場の規制で課題も

水銀による健康被害の防止などを目指す水俣条約。水俣病の教訓などから先進国での水銀の使用量は減っているが、発展途上国では小規模な金採掘場で広く使用され汚染が拡大している。10日採択した条約は、採掘現場での使用と排出の削減を批准国に求めるものの禁止にはせず、課題はなお残っている。

「水俣の悲劇がインドネシアで再発するのを恐れている」。熊本市のホテルで8日、非政府組織(NGO)のグループが開いた記者会見で、インドネシアから参加したユーユン・イスマワティさんは真剣な面持ちで漏らした。

アジアやアフリカ、南米では、採掘した金を水銀を使って抽出する方法が広く普及している。安価な設備投資で、簡単に事業が始められるからだ。田畑や河川に水銀を含んだ廃液や汚泥が垂れ流されている地域もある。

国連環境計画(UNEP)によると、2010年の世界の大気中への水銀排出量は推定1960トン。小規模な金採掘現場での水銀使用によるものが37%と最も多い。

インドネシアで水銀汚染状況を調査した鹿児島大大学院の冨安卓滋教授(環境化学)は健康被害を懸念しつつ「発展途上国では金採掘が生活の糧になっている。危険だからといって、すぐ禁止は難しい」と話す。

現地では多くのコメ農家などが安定した現金収入を求め、非合法な金採掘や精錬に手を染めている。代わりの収入を確保せずに一律に禁止しても闇で続ける恐れがあるため、実効性が期待できないのだという。

冨安教授は「土壌や河川の汚染が進めば、金が採れなくなった後に農家に戻ることもできなくなる。国家レベルで資金援助をするだけでなく、住民が金採掘以外で生活できるようなきめ細かい支援策が必要だ」と指摘している。〔共同〕

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