少年院後、25歳までに4割が再犯 11年版犯罪白書
少年院の仮退院者を追跡調査したところ、約4割が25歳になるまでに犯罪を起こしていたことが、11日に閣議報告された「2011年版犯罪白書」で分かった。原則20歳になるまで受ける保護観察の終了後2年半以内に約8割が再犯に及んでいた。白書は「20歳代前半は犯罪を起こすリスクが高く、就労などの生活基盤の安定や、地域社会の中でのサポートが必要」と指摘している。
今回の白書のテーマは「少年・若年犯罪者の実態と再犯防止」。2004年1~3月に全国の少年院を仮退院した当時18~19歳の男女計644人(男子606人、女子38人)を対象に追跡調査を実施。過失による交通事故を除く「一般刑法犯」で25歳になるまでに罰金以上の刑事処分を受けたかどうかや、生活状況などを調べた。
その結果、刑事処分を受けていたのは、全体の39%にあたる248人。うち男子が246人(男子全体の41%)、女子が2人(女子全体の5%)で、男女差が大きかった。
罪名別では、窃盗が123人で最も多く、次いで、傷害(57人)、道路交通法違反(54人)、住居侵入(43人)、自動車運転過失致死傷等(36人)と続いた。再犯によって受けた刑事処分は644人中、実刑が15.1%、執行猶予付き有罪が15.3%、罰金が8.2%だった。
644人のうち、仮退院後の生活状況を詳しく把握できた189人について調べたところ、約3割の58人が暴力団に、約1割にあたる19人が暴走族に加入していた。
少年院の仮退院者は原則20歳になるまで保護観察の対象で、保護観察官や民間ボランティアの保護司と定期的に面接することが義務付けられている。
仮退院後に刑事処分を受けた人について、犯行時期を分析したところ、保護観察終了前に約2割、保護観察が終了して1年後までに約5割、2年半後までに約8割が犯行に及んでいた。年齢で区切ると、20~21歳がピークで、この時期の犯罪防止対策の重要性が浮き彫りになった。
就労状況と犯罪の関連についても調査。仮退院後に刑事処分を受けた人の割合は、保護観察終了時点で無職だった人のうち48%に上る一方、有職者は35%、学生は22%にとどまった。また、刑事処分を受けた人の86%が、犯罪を行っていない時期に就労や就労の努力をしていた。
調査結果を受け、白書は「非行少年や若年犯罪者を社会から排除するのではなく、責任ある社会の一員として再び包摂していくことが重要」と提言。犯罪防止の具体的な取り組みとして、処分の重さや意義を十分理解させる活動▽就労の確保や維持▽家庭裁判所など関係機関の連携強化――などを求めた。