闇サイト照準「ネットハンター」 警視庁に専従班 - 日本経済新聞
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闇サイト照準「ネットハンター」 警視庁に専従班

「犯罪の温床」監視 おとり捜査も駆使

警視庁は今月、凶悪犯罪などの共犯者の募集などに悪用されることがあるインターネット上の闇サイトを監視する特命チーム「ネットハンター」を新設した。闇サイトの取り締まりに特化した専従班の設置は全国の警察でも例がないという。「おとり捜査」の手法も駆使するという異色のハイテク捜査チームの狙いとは――。

 「仲間募集。短期間で高収入」。サイバーパトロール中の捜査員がネット上の掲示板「闇の職業安定所」に不審な書き込みを見つけた。一般人を装い「失業し困っている。どんな仕事か?」とメールを送ったところ「○日に宝石店に強盗に入る。見張り役をやれば10万円払う」との返信が。当日、拳銃を持って宝石店近くの待ち合わせ場所に現れた男数人を、張り込んでいた警視庁の捜査員が強盗予備容疑で一斉に逮捕――。

警視庁がネットハンター投入で期待する強盗犯摘発のイメージだ。

実際には、犯行の前段階で捜査員の身分を明かして警告することも想定。従来、書き込みだけを根拠に摘発に乗り出すのは困難だったが、「おとり捜査」の手法を活用することで、殺人や強盗、振り込め詐欺などの悪質な犯罪に手を染めようとする者にたどり着き、未然に防ぐことがネットハンターの最大の狙いだ。

闇サイトを巡っては、東京・多摩地区で女性への集団暴行を繰り返したとして警視庁が昨年3月に逮捕した男4人は「猟の手伝いします」などとネット掲示板に書き込んで仲間を募集。2007年8月には名古屋市で携帯電話の闇サイトで知り合った男3人が帰宅途中の会社員の女性(当時31)を拉致、殺害する事件も起きた。特定の電車を指定して痴漢行為への参加を募る書き込みもあり、「犯罪の温床」ともいわれる。

こうした犯罪では、ネット上で知り合うまで、共犯者同士が会ったことすらないケースがほとんどで、聞き込みなどで交友関係などを洗い出す従来の捜査手法では限界があった。

ネットハンターはハイテク捜査に精通した捜査員総勢21人。5日付で警視庁犯罪抑止対策本部に設置した「違法・有害サイト対策専従班」に配属された。主にサイト経由の共犯者の洗い出しや犯罪の未然防止に全力を挙げるという。

ただ、こうした捜査手法がどれだけ実際の検挙につながるかは未知数。捜査するにもネット上には信ぴょう性が疑わしい情報が多い上、闇サイト以外にも掲示板で「犯行予告」をして交通機関などの運行を妨害したり、児童ポルノを違法配信したりするなど様々な形態の犯罪が後を絶たないのが実情だ。

ハイテク捜査官らを率いる同本部の千野啓太郎副本部長は「ネットを足がかりにした犯罪は治安対策上、見逃すことはできない問題。積極的に取り締まりたい」と話している。

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