没後50年、仏でエディット・ピアフがブームに
「愛の賛歌」「バラ色の人生」など日本でも多くの歌手がカバーした名曲を残したフランスのシャンソン歌手、エディット・ピアフが死去してから10日で50年。フランスでは今年10冊以上の伝記や関連本が出版され、追悼コンサートや演劇も相次ぐなどブームが巻き起こり、日本にも波及している。
ピアフは1915年、パリ東部の貧しい家庭で生まれた。恵まれない少女時代を過ごし、路上やナイトクラブで歌うことから始め、徐々に才能を見いだされてスターとなっていく生涯は有名だ。
ピアフに関する70分のドキュメンタリー番組を制作した民放TF1のバレリー・エクスポジトさんは「今、フランスは経済的な危機にあり、人々はヒーローやヒロインを求めている」と言い、ブームの背景には右肩上がりだった時代への「郷愁」があると分析。ピアフ晩年の名曲「水に流して」を作曲したシャルル・デュモンさんは18日から3日間、パリで追悼コンサートを開く。
ピアフが生まれたパリ20区にある「エディット・ピアフ」という小さなカフェ。客のほとんどは近所の常連で、毎年ピアフの誕生日と命日には皆でピアフの歌を歌う。マスターのマビル・サブニさんは「郷愁だけじゃない。ピアフの歌は昔も今もこれからも歌い続けられる」と話す。
ブームは日本にも広がり、ピアフをしのぶ公演やCDのリリースが続いている。また、フランス映画「エディット・ピアフ 愛の讃歌」で、ピアフの歌声を担当した歌手のジル・エグロさんが11月に来日し、東京、名古屋、大阪でコンサートを開く予定。(パリ=共同)