2019年2月19日(火)

政党機関紙配布、元社保庁職員の無罪確定へ もう1人は有罪

2012/12/8付
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休日に共産党機関紙「赤旗」を配ったとして、国家公務員法(政治的行為の制限)違反の罪に問われた元国家公務員の男性2人に対する上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は7日、1人を無罪、1人を有罪としたそれぞれの二審判決を支持し、上告を棄却した。2人の役職の違いなどを理由に異なる結論を妥当とした。

政治活動で訴追された公務員の無罪が最高裁で確定するのは初めて。同小法廷は、刑罰を科す政治的行為を「政治的中立性を損なう恐れが実質的にある場合」に限定する初判断を示した。

国家公務員の政治的行為を禁じた国家公務員法について、最高裁は1974年の「猿払事件」大法廷判決で合憲とし、政治的行為の一律禁止を是認したと一般的に受け止められていた。この日の判決は「猿払事件は組織的な活動だった点など今回と事案が異なる」と指摘し、実質的に判例を変更した形だ。

無罪が確定するのは元社会保険庁職員、堀越明男被告(59)。元厚生労働省課長補佐、宇治橋真一被告(64)は罰金10万円の有罪が確定する。

政党機関紙や政治ビラの配布を巡っては2004~05年、相次いで刑事事件となった。裁判では、憲法の保障する「表現の自由」と刑事罰適用のバランスをどう取るかが共通の争点となった。

判決理由で同小法廷は、国家公務員法の規定を合憲としたうえで、「表現の自由は民主主義を基礎付ける重要な権利で、政治活動の禁止は必要やむを得ない限度にとどめるべきだ」と述べた。

政治的中立性を損なう恐れが実質的にあるかどうかの判断は(1)他の公務員に影響を及ぼす管理職的地位か(2)職務内容や権限に裁量があるか(3)公務員の地位を利用したか(4)公務員による行為と直接認識されるか――などを総合的に考慮すべきだと指摘。堀越被告は「管理職的な地位になく、職務の内容や権限に裁量の余地はなかった」としたのに対し、宇治橋被告は「多数の職員を指揮し、影響を及ぼしかねない地位にあった」と判断した。

4裁判官が審理。宇治橋被告について、須藤正彦裁判官(弁護士出身)は「勤務外の政治的行為には適用すべきではない」として無罪とすべきだと反対意見を述べた。

堀越被告は03年、東京都内のマンションポストなどに赤旗を入れた。一審は有罪とされ、二審は「罰則適用は違憲」として逆転無罪とした。宇治橋被告は05年、都内の警視庁職員官舎で赤旗を配り、一、二審とも有罪。

判決後の記者会見で、堀越被告は「同じ行為で差が付くのは問題。両事件とも無罪にすべきだった」と強調した。

長谷川充弘・最高検公判部長の話 それぞれの事案に応じて最高裁の判断が示されたもので、真摯に受け止める。

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