HIV感染気づかず発症、最多の453人 昨年
検査は2万件減 専門家「警戒感低下」

2011/2/7付
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昨年1年間に保健所などで実施したエイズウイルス(HIV)検査件数が前年より約2万件少ない約13万件にとどまり、2年連続で大幅に減少したことが7日、厚生労働省のまとめ(速報値)で分かった。感染に気づかずにエイズを発症した新規患者数は453人で過去最多。専門家は「エイズへの警戒感が低下している」とみている。

同省によると、昨年1年間に保健所などで実施したHIV検査件数は13万930件で、前年(2009年)の15万252件より1万9322件(12.9%)減った。09年も過去最多だった08年(17万7156件)より約2万7千件減少しており、2年連続の大幅減となった。

09年について同省のエイズ動向委員会は「新型インフルエンザが大流行して国民の関心が低くなった影響がある」とみていた。2年連続の大幅減について岩本愛吉委員長は「昨年は新型インフルエンザへの関心が09年ほど高くなかったはず。国民の間でエイズに対する警戒感が低くなっている」と指摘している。

新たにエイズを発症した患者数は453人で、過去最多だった431人(08年と09年)を上回った。感染に気づかず発症する人が増加傾向にある。感染経路別では「同性間性的接触」が219人で半数を占めたが、「異性間」も126人に上っている。感染経路が分からない「不明」も87人で、前年の71人から増えた。

保健所への相談件数は昨年は16万4264件にとどまり、09年より約3万件、08年より約7万件も減少。自分の感染に全く気づかず、相手を感染させるケースが増えている可能性がある。

検査などで見つかった新規のHIV感染者数は1050人で、前年の1021人より増加した。昨年末までの3カ月間は303人で四半期ベースで過去最多。検査件数が大幅に減ったのに新規の感染者数が増えた点について、岩本委員長は「潜在的な感染が広がっている可能性が高い」とみている。適切な対策でほぼ防げる母子感染者も4年ぶりに確認(2人)された。

世界ではHIVの新規感染者は減少、エイズによる死亡者も減っている。岩本委員長は「治療薬は進歩しており、HIV検査で早期に感染が分かればエイズの発症はほぼ防げる」と説明。「早期の治療は感染の拡大防止にも結びつく」として、無料・匿名で受けられる保健所などでのHIV検査の積極的な利用を呼びかけている。

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