「安心して新酒飲んで」 蔵元が独自で放射性物質対策

2011/10/8付
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福島第1原子力発電所の事故以降に収穫されたコメやブドウでつくった新酒の出荷シーズンを控え、各地の蔵元やワイナリーが消費者の不安を払拭しようと細心の注意を払っている。放射性物質混入を防ぐため酒蔵の窓に目張りをしたり、出荷前に全銘柄で独自検査をしたり。業界団体は「安心して新酒を飲んでもらえるよう万全を期す」と話している。

新酒のもろみの仕込みが続く酒蔵(6日、宮城県大崎市の一ノ蔵)=写真 清水慶正

福島県二本松市の老舗「大七酒造」。日本酒のタンクが並ぶ酒蔵の窓は、ビニールテープで厳重に目張りされている。放射性物質が付着したほこりが入らないようにするためで、工場の出入り口にも、空気の噴射でほこりを遮断する「エアカーテン」を取り付ける厳戒ぶり。

原材料のコメや水の検査費、換気口に設置したフィルター代など、放射性物質の対策費は計約1千万円。二本松市の放射線量は観測地点の市役所で毎時約0.8マイクロシーベルト(7日時点)で福島市よりも低いが、太田英晴社長(51)は「一度信頼を失ってしまったら取り戻すのは難しい。費用は多額だが、安全のため念には念を入れている」。

福島第1原発から約120キロの距離にある宮城県大崎市の酒造会社「一ノ蔵」では、11月中旬の出荷を目指し、県産のササニシキなどを原料にした新酒の仕込みの準備が進む。瓶詰めの段階で、新酒3銘柄全てについて、放射性物質の検査を外部機関に依頼する予定だ。

原料のコメや仕込み用の水については、県などの検査でいずれも「不検出」。それでも商品の事前検査のほか、自前の検査機器購入も決めた。担当者は「放射性物質について顧客の問い合わせは減ってきたが、不安が消えたとは言い切れない」と気を引き締める。

ワイン製造場が全国最多の90カ所ある山梨県。国産高級ブドウの甲州種で造る白ワインの出荷解禁を11月3日に控え、県は9月に5カ所から採取した甲州種の放射性物質検査を行い、「不検出」と確認した。甲州市のワイン業者は「原発事故の影響がないことを顧客にアピールしたい」。

日本酒造組合中央会によると、岩手、宮城、福島の3県の日本酒の出荷量は震災直後の3月は4割程度落ち込んだが、復興支援の一環で被災地産の商品を購入する動きが広がり、4月から前年比1~3割増で推移。同会は「新酒が消費者にどう判断されるかで、今後の売り上げに影響が出る」として販売動向を見守っている。

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