皮膚で光感じるラット、東北大が育成成功 脳機能解明に道
東北大の八尾寛教授(光遺伝学)らの研究グループは、皮膚で光を感じるラットの育成に世界で初めて成功、米科学誌に発表した。皮膚には本来、目の網膜にあるような光を感じる機能はなく、ラットは触覚として光を感じているとみられるという。
八尾教授は「脳が形や手触りなどをどう認識しているかの仕組みはほとんど分かっていない。この分野での脳の機能の解明が進むのではないか」と期待を示している。
網膜の視細胞では光を感じるタンパク質が光のエネルギーを受け取り、脳に伝えることで視覚を生み出している。研究グループは単細胞緑藻類「クラミドモナス」が持つ、青い光を感じるタンパク質「チャネルロドプシン2」に着目。このタンパク質を遺伝情報に組み込んだラットを育てた。
目や体を黒い布で覆って足だけを出し、発光ダイオード(LED)青色光を当てたところ足を動かす反応があった。体内を調べたところ、チャネルロドプシン2が触覚をつかさどる大型の神経節に多く集まっていた。
研究グループは「将来的には指先で文字や画像をよみとる技術開発にも応用できる」としている。〔共同〕