被災の結婚式場、「震災遺構」で保存へ 宮城・南三陸

2013/8/7付
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東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の結婚式場「高野会館」の所有者が過酷な被害を伝える「震災遺構」として施設を残す意向を固めたことが7日、分かった。震災遺構には「津波を思い出す」と周辺住民から反対の声が出ることが多く、これまでに保存方針が明らかになったのは数例だけ。民間業者が自発的に決めるのは珍しい。

高野会館は水産加工、観光業を展開する阿部長商店(同県気仙沼市)が所有し、入院患者ら70人以上が死亡、行方不明となった公立志津川病院=解体済み=のそばにあった。海岸に近く、津波は最上階の4階まで押し寄せたが、集会を開いていた地元のお年寄りら約330人は屋上などに避難し、全員救助された。

同商店グループの南三陸ホテル観洋(南三陸町)は震災後、高野会館などをバスで巡るガイドを続けてきた。しかし周囲の建物が次々と解体されるにつれ、利用客の反応が鈍くなったという。

「一生懸命語っても伝わりにくい。目で見て分かるものがないと……」と感じたスタッフ。視察に訪れた専門家からも保存を望む声が多く寄せられ、おかみの阿部憲子さん(51)を後押しした。

費用などの課題は多く、具体的な保存方法は未定。だが、阿部さんは「千年に一度の災害は、千年に一度の学びの場。生き残った者として震災を風化させたら亡くなった人に申し訳ない」と決意を固めている。

被災地では、岩手県大槌町の旧役場庁舎の一部保存が決まったが、気仙沼市が5日、津波で打ち上げられた大型漁船「第18共徳丸」の保存断念を表明したばかり。〔共同〕

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