木造芝居小屋「康楽館」が100周年 秋田・小坂町
秋田県小坂町の木造芝居小屋「康楽館」が建てられてから100周年を迎え、今年8月に記念式典が開かれる。連日公演が行われており、木村則彦館長は「使うことで生きたままの芝居小屋として保存していきたい」と話す。
康楽館は1910年、銀や銅の鉱山として栄えた小坂町に鉱山従業員の厚生施設として設置された。洋館風の外観に対し、桟敷や花道のある内装は和風。定員は約600人で、客席の間を通る道板を役者が歩き回るなど、客と役者の距離が近いのも魅力だ。2002年には国の重要文化財に指定された。
直径9メートル以上ある「回り舞台」や、花道の下から役者を登場させる「切穴(すっぽん)」は今でも人力。楽屋の壁には東野英治郎さんや仲代達矢さんなど、役者の落書きが残されており、舞台裏や楽屋は黒子の案内で1人でも見学できる。
同館は70年代、老朽化や客の減少などでほとんど使われなくなったが、小坂町が町おこしのため、約2億円をかけて改修し、86年に再開した。再開後、今年3月末までの総入館者は190万人を突破した。
今年は記念式典のほかにも、尾上菊五郎さんらによる歌舞伎芝居の公演や、小坂町を舞台に書き下ろされた大衆演劇など、多くの特別公演が予定されている。〔共同〕