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エチゼンクラゲどこへ 日本近海、今年姿見せず

「まだ安心できず」の声も

2002年以降、日本沿岸にしばしば現れ、漁網を破るなどの被害を出してきた大型クラゲ(エチゼンクラゲ)が、今年は姿を見せず研究者らが首をひねっている。過去に被害を受けた各県は共同で追跡調査態勢を強化したばかり。漁業関係者は「まだ安心できないが、このまま来ないでほしい」と話している。

巨大な体でゆらゆらと海中を漂うエチゼンクラゲ(2007年11月10日、福井県越前町沖の水深5メートル)=共同

「理由は分からないが、日本の近くで全く観測されなくなった」――。独立行政法人「水産総合研究センター」(横浜市)の川崎清・チーフ研究開発コーディネーターは首をかしげる。

昨年は被害深刻

大発生した昨年は6月上旬時点で、東シナ海で多数発見。6月末に長崎・対馬の定置網にかかったのを皮切りに、日本海側を北上。9月ごろに津軽海峡を通過すると太平洋側を南下し、11月ごろに和歌山県まで達した。網の破損や漁獲物の鮮度低下など、被害は全国で約5万5千件に上った。

ところが、今年の6、7月調査では、東シナ海で目視などで大型クラゲが確認されたものの、日本近海ではゼロ。対馬周辺でも目撃情報はないままだ。

大型クラゲが減った理由について、川崎氏は(1)海水温の低下傾向(2)天敵など他生物の増減といった生態系の変化(3)日本海に流れ込む海流の変化――などを挙げつつも「生態は未判明の部分が多く、これという決め手はない」と困惑する。

大型クラゲの出現パターンも分かっていない。02年以降に日本沿岸に現れ、05年には全国で10万件以上の被害が発生。08年は全く姿を見せず漁業関係者は胸をなで下ろしたが、09年には再度、大発生した。

改良網で備え

今年の襲来に備え、日本海側で大型クラゲの被害を受けてきた秋田県や山口県などの9県と同センターは共同し、日本海での追跡調査の態勢を強化したばかり。

日本海を3つのエリアに分け、7月から11月にかけて大型クラゲの北上に合わせ、各県が連携して採取網や魚群探知機を使い、出現予報などを漁業者に提供する仕組みを整備した。調査は既に始まっているがクラゲ情報はなく、肩すかしを食わされた格好。同センターは「もう来ないと分かったら中止もあり得る」。

ただ、何年も大型クラゲに悩まされてきた漁業関係者は警戒を緩めていない。

ズワイガニ漁などへの影響が大きい京都府漁協も「来ないのはありがたいが、遅い時期に来たこともある。まだまだ安心できない」とクラゲだけを逃がす改良型の網を配備する準備を進める。

定置網漁などで深刻な被害を受けてきた青森県漁協は「クラゲは一度来ると網に目いっぱい入り、被害は大きい。クラゲ駆除の漁具の備えは進めたい」と警戒態勢を崩さない。

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