2019年2月19日(火)

石綿「国の対策不十分」 東京地裁、170人に10億円賠償命令

2012/12/6付
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建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんなどを発症した首都圏の元建設労働者と遺族ら337人が国と建材メーカー42社に計約119億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、東京地裁であった。始関正光裁判長は「石綿粉じん防止対策として講じた国の規制措置は不十分だった」と述べ、原告170人に総額約10億6千万円の支払いを命じた。メーカーの責任は否定した。

建設現場でのアスベスト被害を巡る集団訴訟は6地裁に起こされ、「東京訴訟」は原告数が全国最大。作業現場を転々とした建設労働者について国の責任を認めた判決は初めて。全員の請求が認められなかったことなどから、原告側は控訴する方針。

判決は石綿が引き起こす疾患の危険性について、医学的知見が確立した時期を石綿肺が1958年、肺がんと中皮腫は72年とそれぞれ認定した。

その上で、国による防じんマスクの着用義務付けは、遅くとも(1)吹き付け工が74年(2)その他の屋内作業の労働者が81年――には必要だったと指摘。「事業者に罰則を伴うマスクの着用を義務づけさせるなどの規制を国が怠ったことは、著しく不合理で、違法」と結論付けた。

一方、吹き付け工を除く屋外作業の労働者については「当時、研究などがなく、国は危険性を認識できなかった」としたほか、個人事業主も「労働者に当たらない」として訴えを退けた。建材メーカーの責任は「発症原因の建材を特定できない」と否定した。

アスベストによる健康被害を巡っては、大阪府南部の石綿関連工場の元従業員らによる集団訴訟で、大阪地裁は2010年と今年3月の判決で、国の責任を認めた。うち1件は控訴審で逆転敗訴とし、原告が上告中。国の責任を巡る司法判断は分かれている。

厚生労働省の話 国の主張が認められなかった点があり、厳しい判決だと理解している。今後の対応は関係省庁と協議して決定する。

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