球形結晶、毛髪の太さの100分の1に 阪大など成功
毛髪の太さの100分の1という小さな球形の結晶を作ることに大阪大などのチームが成功し、5日付の英科学誌電子版に発表した。直径は数マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の1ミリ)。このサイズの単独の結晶で真ん丸な形を保つのは難しく、世界初という。
結晶の表面は原子配列のばらつきがなく滑らかで、光を効率良く内部に閉じ込める性質も持つため、超小型レーザーや医療用の潤滑剤への応用が考えられるとしている。
チームの芦田昌明教授(光物性物理学)によると、球形結晶は、酸化亜鉛などの物質を超流動ヘリウムの中に入れ、レーザーで溶かして作る。
液体になった酸化亜鉛は球状になり、元来の形の六角柱に戻る前に周囲をヘリウムガスが覆うため球形が保たれる仕組み。通常、単独の結晶は球形ではなく、直方体や六角柱などの形になる。
セレン化亜鉛という別の物質でも成功しており、芦田教授は「多くの物質で真球単結晶を作る一般的な手法になりうる」と話している。〔共同〕