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北極に異変、大雨や「赤雪」 急激に進む氷河融解

【カナック(グリーンランド北西部)=共同】大部分が北極圏のグリーンランド。米航空宇宙局(NASA)の観測で、ほぼ全域で氷の表面が解けていることが分かっている。文部科学省が今夏、グリーンランドの氷減少のメカニズムを探るため派遣した北極観測チームは、気温上昇以外にも氷が解ける複数の要因を明らかにしつつある。

「北極圏でこんなに雨が降るとは思わなかった」。北緯77度。グリーンランド氷床上で7月中旬、氷河や気象の観測をしていた気象庁気象研究所の青木輝夫室長は驚いた。3週間の滞在中ほぼ5日間は雨、テントの中は水浸しになった。

大半を氷に覆われたグリーンランドで急速に氷床が解け始めている。英科学誌ネイチャーに掲載された論文によると、2002~06年の間、1年間に約248立方キロメートルの氷が解けた。この融解は海面が0.5ミリ上昇する量に相当。また2100年までに5~10センチ上昇するとの予測もある。

NASAは7月、人工衛星の観測データの分析結果を公表した。グリーンランドの氷表面が解けた割合は全体の97%に達したという内容だ。約30年の観測でこれほどの例はなかった。青木室長らも氷床を掘り下げて調べた結果、同じような結論に至ったという。

温暖化に伴い、北極ではこれまであまり見られなかった現象も確認されている。日本の観測チームは7月、カナック氷河で雪が赤く染まる「赤雪」という現象を確認した。気温上昇で赤い色素を持つ微生物が大量発生した結果とされる。

千葉大の竹内望教授は「赤雪は太陽光を白い雪よりも多く吸収し、氷河の融解を加速させるだろう」と指摘。また、氷河が海に流れ出るスピードが速まり、融解を促進しているという予測もある。

北海道大低温科学研究所の杉山慎講師によると、氷の表面が解けてできた水が氷河と陸地の間に流れ込み「潤滑油」の役割を果たして大量の氷を海に押し出している。観測チームは、全地球測位システム(GPS)を使い氷河の動く速度を測る予定だ。

文科省は、国立極地研究所や気象研究所、大学など35機関の研究者約300人で組織する観測チームを発足させ、今回グリーンランドに一部を派遣した。今後4年間の調査を基に温暖化が地球に与える影響を予測する。国が本格的な北極観測に乗り出すのは初めてだ。

極地研の榎本浩之北極観測センター長は「従来の北極の氷減少予測は、今回指摘した新たな要因はあまり反映されていない。観測データを取り込めば、北極の氷はこれまでの予測より早く解けてしまう可能性がある」と話している。

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