2018年12月17日(月)

iPS卵子からマウス 京大チーム、不妊症研究へ道
生命倫理上の課題も

2012/10/5 3:00
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あらゆる細胞に変化するiPS細胞から卵子を作り、通常の精子と体外受精させてマウスを誕生させることに京都大学の研究チームが成功した。倫理的にも技術的にもヒトへの応用はまだ難しいが、不妊症のメカニズム解明などに役立つ成果。昨年、iPS細胞から精子を作る同様の実験にも成功しており、組み合わせればiPS細胞から新たな命を生み出すことが理論的には可能になる。

米科学誌サイエンス(電子版)に5日掲載される。iPS細胞と同じ万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)でも同様の実験に成功した。

京大の斎藤通紀教授や林克彦准教授らの研究チームは、メスのマウスの細胞から作ったiPS細胞を培養し、卵子のもととなる「始原生殖細胞」を作製。これを卵巣の一部になる細胞と混ぜて培養し、メスのマウスの卵巣に移植した。約4週後に卵子を取り出し、体外で受精できる成熟した卵子にした。

生殖能力を調べるため試験管内で通常の精子と体外受精してメスの卵管に入れたところ、約1.8%(3匹)で子が生まれた。普通の卵子の体外受精(約12.7%)に比べると低率だが、iPS細胞から作製した卵子をもとにマウスを誕生させたのは初めてという。孫の代まで調べたが発育などに異常はなかった。

iPS細胞を利用した卵子で誕生させたマウス=京大提供

iPS細胞を利用した卵子で誕生させたマウス=京大提供

iPS細胞から精子や卵子が得られれば、病気で生殖が難しくても子どもができる可能性があるが、斎藤教授は「現時点の技術をヒトで応用することは非常に難しい」と話す。マウスとは細胞の性質が大きく異なり、ヒトの細胞で卵子を作るまでには10年単位の時間がかかる可能性もあるという。今後はヒトのiPS細胞で卵子や精子を作る研究を進める。

ただヒトへの応用は生命倫理上の課題もあり、文部科学省の研究指針は生命誕生につながる恐れがあるとして作製したヒトの生殖細胞を受精することを禁じている。

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