硫化水素が心筋細胞の老化を抑制 熊本大など解明
熊本大大学院生命科学研究部の赤池孝章教授は5日までに、九州大などとの共同研究で、活性酸素が心不全を引き起こす仕組みと硫化水素が心筋細胞の老化を抑制することを解明した。研究は米科学誌ネーチャーケミカルバイオロジー電子版に発表した。
以前から心筋梗塞を起こした心臓で活性酸素が多量につくられ、心不全を引き起こすことは知られていた。赤池教授らは、活性酸素の代謝過程で生じる「親電子物質」と特定のタンパク質が反応し、心筋細胞を老化させて心不全が起きることを突き止めた。
さらに、心臓にはほとんど存在しない2種類の酵素が硫化水素を体内で生成することや、硫化水素が親電子物質を分解することを発見。硫化水素を心筋梗塞のマウスに投与したところ、心機能が著しく改善したことから、硫化水素が親電子物質を分解することで心筋細胞の老化を抑制することを確認した。
今後は硫化水素と同じ働きをする毒性のない物質をつくる研究を続け、心不全の新しい治療法開発を目指すという。〔共同〕