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iPS細胞でマウス誕生 京大教授ら、精子のもと作製

京都大の斎藤通紀教授や林克彦講師らはマウスの新型万能細胞(iPS細胞)から精子のもととなる生殖細胞を作り、これをもとにマウスの子どもを誕生させることに成功した。倫理的な面だけでなく技術的にも不妊治療への応用はまだ難しいが、不妊症のメカニズム解明などに役立つ成果。米科学誌セル(電子版)に5日掲載される。

作製したのは精子のもととなる「始原生殖細胞」という細胞で、精巣の中にあり精子に育つ能力がある。斎藤教授らはiPS細胞に細胞増殖にかかわる2種類のたんぱく質などを加え、まず始原生殖細胞のもととなる細胞を作製。さらに、この細胞に特定のたんぱく質を加えて始原生殖細胞を得た。精子のできないマウスの精巣に移植すると、精子ができた。

生殖能力があるかどうかを調べるため、試験管内で卵子と受精してメスの子宮に入れたところ、約3割の確率で子どもが生まれた。普通の精子を使う場合と同じ確率。遺伝子の働き方や体重、発育などに異常はなく奇形が増える傾向もない。

京都大グループがiPS細胞を利用した精子で誕生させたマウス=京都大の斎藤通紀教授提供・共同

将来的にiPS細胞から直接精子が得られれば、病気で精子が得られなくても子どもができる可能性がある。斎藤教授は「現時点で(不妊治療など)人に使うのは非常に難しい。(ヒトのiPS細胞で)実現するには10年かかるかもしれない」と話している。文部科学省の研究指針は生命誕生につながる恐れがあるとして作製したヒトの生殖細胞の受精を禁止しており、研究を促すには倫理面を考慮しつつ制度を見直す必要も出てくる。

今後は胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から卵子を作る研究などに取り組む。染色体の関係でオス由来のiPS細胞からは卵子を作れず、メス由来のiPS細胞からは精子を作れない。メスの染色体の型を持つES細胞などで研究を進める。

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