東京タワー「頂上」に軟球、いまだ謎のまま
なぜ地上306メートルにボールが……。東京タワー(高さ333メートル、東京都港区)のほぼてっぺんに当たるアンテナ支柱の中から、軟式野球用の古いボールが見つかった。1958年の開業以前からあった可能性が高いが、どのようにして入ったのかは謎に包まれたままだ。
タワーを運営する日本電波塔によると、ボールは7月10日、東日本大震災の揺れで曲がった支柱の付け替え工事の際に発見された。
作業員が直径約37センチ、長さ約25メートルの筒状の支柱をガスバーナーで輪切りにすると、穴が開いて黒ずんだボールが支柱底部にあったという。変色や穴は腐食によるものなのか、切断時にバーナーの炎で焼けたためなのかは分かっていない。
付け替え工事は開業以来初めてで、支柱は密閉されていたことから、タワー建設時に何らかの理由で入り、50年以上そのままだったとみられる。
建設中の一時期、近くの増上寺の空き地に資材が置かれていた。日本電波塔は(1)作業員や子どもがキャッチボールをしていて偶然入った(2)作業員が冗談半分や記念のつもりで入れた――のどちらかではないかと推測する。
同社はタワー内での展示を検討しており、沢田健広報課長は「建設当時の様子を知る人が少なくなっている。このボールをきっかけに思い出話が聞けたらうれしい」と話している。〔共同〕