天理大柔道部で暴行、4年生が1年生十数人殴る
天理大(奈良県天理市)は4日、記者会見し、柔道部の4年生の男子部員4人が5月、1年生部員十数人の顔を平手打ちし、うち1人に鼓膜が破れるけがをさせていたと発表した。暴行は複数回あり、大学は4人の処分を検討している。天理大柔道部は五輪や世界選手権のメダリストを輩出している名門。
会見した柔道部の藤猪省太部長(63)は「柔道界に申し訳ない」と謝罪、全日本柔道連盟(全柔連)の理事と同部長を辞任する意向を示した。
藤猪部長は、全柔連で暴力指導問題を機に宗岡正二会長ら新体制が発足した8月21日に理事に就任したばかり。7月に部内の暴力を把握しながら理事に就任したことについて「大学に預けた案件だったので、自分からは言ってはいけないと思った」と釈明した。
大学の説明によると、4人は5月、練習中に水を飲んだとして寮で1年生部員を叱責、うち十数人の顔を平手打ちにした。この際、部員1人の左耳の鼓膜が破れた。この部員は6~7月にも木刀で尻をたたかれ、顔を平手打ちされた。
この部員が7月10日、同部の土佐三郎監督に退部を申し出て暴行が発覚、藤猪部長は同17日に知らされた。しかし、外部からの指摘で大学が同23日に把握するまで、柔道部は大学に報告していなかった。
大学の聞き取り調査などに対し、暴行をした4人は事実関係を認め、藤猪部長らとともにけがをした部員の自宅を訪ねて謝罪した。大学は土佐監督を8月20日から自宅謹慎とし、柔道部は20日間練習を自粛した。
ブラジル・リオデジャネイロの世界選手権男子73キロ級で金メダルを獲得した4年生の大野将平主将も5月の暴行の際、現場に居合わせており、調査に「行為を止められず、ふがいない」と話しているという。
天理大柔道部は大学柔道界屈指の強豪で、男子60キロ級で五輪3連覇の野村忠宏選手やシドニー五輪銀メダルの篠原信一氏らもOB。